フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

適正価格(その9)

コミュニティFMと適正価格について、少し考えてみたい。
コミュニティFMに限らず、商業放送というのは、実際のサービス受給者に商品を売っているわけではない。
無料で集めたサービス消費者(リスナー)の購買能力を、クライアント(スポンサー)に売っているという構図である。
商品(番組等)がどれだけ素晴らしく、どれだけ優良でも、リスナーを得ることができなければクライアントを獲得することはできない。
かっての大阪のyes-fmのように、吉本のブランド価値を使って、リスナーが現実にはさほど存在しないにもかかわらず、月に数千万という売上げがあったという例があるが、当然ながらそれは長く続かなかった。
コミュニティFMで、こんなビジネスモデルがうまくいくわけがないのではという私の疑問に、吉本が作っているのだから他のコミュニティFMとは違うんだという答を返されたこともあった。
ブランド信仰というものが、本来のメディア価値を見えなくさせていたのだろう。
リスナーの数に比例して、価値は生まれる。
それが、商業放送としてのラジオの基本的ヴァリューであることを否定するものはいまい。
コミュニティFMなんか、聞く人(リスナー)いないという声もあるが、この場合の聞く人がいないというのは二つの意味がある。
一つは、コミュニティFMという狭いエリアを対象にしていたら、マス媒体として機能するだけの聴取可能者がいないという側面。
もう一つは、コミュニティFMという規模では、リスナーを呼び込めるようなコンテンツを提供できる潜在能力が弱く、期待したほど聴取層が広がらないという側面があると思う。
前者の問題は、局側の努力で聴取可能人口を増やしたりしている地域もあり、地場のクライアントとの提携がうまく行っているところは、安定した経営を実現しているところもある。
後者は、結局コンテンツの制作能力の問題につきる。
金とマンパワーが優良コンテンツを生み出すわけだから、そのどちらが欠けてもリスナーを獲得するのは難しい。
ということで、適正価格を決定させる要因のメインは、リスナーの数ということになる。
サブとして、そのリスナーの属性がある。
若い人、女性、社会的地位の高い職業、他にもいくつかあるが、要は最初に書いたサービス消費者の購買能力をクライアントが買うわけだから、こういった属性の位置づけは避けて通れない。
リスナーの購買能力が、クライアントの望む領域までに達しなければ、元々売買は成立しない。
スポット価格1000円と書いていても、その場合の適正価格は0円(マイナスの場合もあるかも)となる。
0円なら売る(買う)というよりも、売買なしである。
このあたり、オークションの構図に似ている。
明日は、そのあたりをもう少し。