フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ブランドとしてのラジオ(その3)

さて、大阪のFM802が売上げを落としたことに驚いて、またまたブランド論を書いてしまった。
マスコミというのは、それ自体がブランドで、その価値は大手になるほど高いのは事実。
そのために、今まで様々な努力を各メディアは重ねてきたと思うのだ。
しかし、貧すれば鈍するというか、広告費にしめる割合が落ちてくると同時に、そのブランドを毀損するような選択をメディアは取ろうとしている。
FM802も、最近の動きを見ていると、自分たちのブランドイメージを下げるような選択をしているのではないだろうか。
先日書いたブランド価値を毀損させる3つの選択のほかに、私から見て露骨すぎると思ったのは、FMcocoloの制作を引き受けたことだ。
FM802のブランド力を使えば、cocoloの再建は可能だと経営陣は踏んだのかもしれない。
しかし、結果として生まれたのは、多くのcocolo愛好家の離反だった。
何を勝手なことをやっているのだ、俺たちのcocoloを返せという声が広がったことだ。
確かにcocoloのリスナーの数はたかがしれていたのかもしれない。
だから、スポンサーはつかないし、金にもならなかったと考えたのだろう。
しかし、コアなリスナーを失うことは、再建をも危うくさせることに気づくべきではなかったか。
愛知の外国語放送が停波した時、心の中に傷を負った人は尋常の数ではなかった。
そのナイーブさに心を致さない限り、ラジオを経営する資格は得られない。
802がcocoloを引き受けるにあたって、幾つかの紆余曲折があったことは人伝で色々聞いている。
ラジオ業界の再編が不可避となりつつある現状で、とにかく今後も生き続けていくための経営選択であったことは理解できる。
しかし、そこに驕りはなかったか。
聴取率NO1という実績に頼りすぎはなかったか。
これが自分たちのブランドを毀損するのではないかという危惧はなかったのだろうか。
cocoloというブランドは、おそらく過去の制作陣を放擲した段階で確実に落ちた。
それを埋める為に802ブランドを使えば、802の本来のブランド価値もその分減少するとは考えなかったのだろうか。
ラジオ業界は、もはやかっての黙っていてもリスナーが毎年増えていく状況ではない。
そんなところでシェア争いしていても、売上げが増えていくなんて考えられない。
せめて、人々の中にブランドとして通用している間に、次のビジネスモデルを開発していってほしい。
ラジオは、まだまだそれ自体がブランドとして通用する世界もあるのだ。
コミュニティFMも又しかりなり。
そういうことで、ブランド論の繰り返しの愚は避けたいので、この項はこれぐらいで。
興味のある方は、ぜひ過去のブログをさかのぼって読んで欲しい。