フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

適正価格(その7)

ラジオ局側が、媒体力低下を自覚していても、それに対してこれといった対応もしないのを見て、大手広告代理店は幾つかの提案をしてきた。
その一つが、いわゆるレスポンス広告である。
ラジオ局が売ってきたスポット料を、レスポンスに応じて払うという方式だ。
リスナーが、ラジオのスポット(あるいは有料パブリシティ)を聴いて反応してきた回数に対して、対価を払うというのは、クライアントからすればきわめてリーズナブルな買い物である。
ラジオは、何度も言うが、放送した効果を数量的に表す方法論を積極的に開発してこなかった。
そこで代理店はクライアントを説得するために、実際の反応に対する費用を払うという形でラジオを商品化しようとしたのだ。
そうでもしないと、ラジオを使うという理由をクライアントに説明できないという面もあったのだろう。
これは、ある通販を展開している方にお聞きしたのだが、どこのラジオにどれぐらい広告を打てば、大体どれぐらいのレスポンスがあり、ラジオ局に払う額はどれぐらいになるかというのがデータ的にわかっているのだそうだ。
その意味では、通販関係の方は、ラジオ局の適正価格は既にご存知といえるのかもしれない。
定価表にしても、企画書に書いてある料金にしても、こういうクライアントの方からするなら、噴飯ものらしい。
ラジオであれ、テレビであれ、新聞であれ、チラシであれ、こういう商品は、こういう風に表現し、こういう展開をすれば、だいたいどれぐらい売れるかは、ほぼシミュレーションできているという。
通販業者にとっては、宣伝費も仕入費扱い。
仕入費が安ければ、利益率もあがるし、また再投資もできる。
ラジオというメディアの仕入費が、当初の予算の範囲内であれば買うのは何でもないことなのだ。
要はラジオが、その範囲で自分の商品(スポットとかパブとか)を提供するかどうか。
レスポンス広告がラジオ局に提唱された時は、「ふざけやがって」という声もよく聞いた。
反応がなければいくらスポットを打っても一円も払わないなんてことになるわけで、そんな条件じゃ売れない、第一テレビにはちゃんと反応があろうとなかろうとスポット料を払っているではないか、などという怒りに近い声もあった。
しかし、そういう条件でなければ、出稿はないというのが現実になり、幾つかの局がそれを受け入れていく中で、もはやそれは当たり前のラジオ局の商売のやり方になっていって今に至っているようだ。
コミュニティFMの方も、こういったレスポンス広告的なものに背に腹は変えられずで、仕方なしにやられた経験があるのではないだろうか。
このあたり、もはやラジオ局側に価格決定権はない。
適正価格を決めるのは、もはや消費者側、クライアント側である。
こういう効果があれば、これだけ払う、文句があるなら要らないよ、というスタンスというか。
さて、ラジオ局はこの状況をどうすべきか。
そんな話を、今後も続けて行くつもり。