フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

適正価格(その6)

結局、適正価格がどうのという前に、その商品が商売として成り立つかがそれ以上に重要なのだ。
ラジオのタイムにせよ、スポットにせよ、それが商品として魅力的なのか、買おうと思うかどうかが大事で、価格なんかその後の話ということになる。
今、何故ラジオの商品的価値が下がってきたかというと、その商品を買っても自分たちにとってさほど利用価値がないという判断が一般化しはじめたからだ。
コミュニティFMの方なら、もっと痛切に理解されると思う。
いくら作り手側が一生懸命番組を制作しても、それを積極的に買おうというスタンスの顧客がいないというのが実情だろう。
かっては、ラジオは面白いとか、センスがある、ファッショナブルなんて思われた時代もあった。
その時代の空気がラジオというメディアの商品性を高めたと思う。
もちろん、そう思って聞いてくれるリスナーが今とは比べようがないほど存在したということもあるだろう。
今は、無条件にラジオを愛してくれている人といえば、どうしてもかってのコアなラジオリスナーであった中年層より上の世代ということになる。
だが、この層は、広告業界的にはあまりオイシイ層ではない。
やはり、商品を買う瞬発力のある若い層、ファッショナブルな買い物を積極的にしてくれる若い女性層に対して広告費を投下しようとするのが普通だろう。
ラジオは、そういう空気の下では、残念ながらネガティブな広告媒体になるのは仕方がないといえる。
もちろん、若い層や女性層がラジオを本当は聴いているということが証明できれば話は違ってくるが、放送局側からは、何ら有効なデータは提示されていない。
私としては、前にも書いたradikoに、そのデータを求めてほしいと思っている。
若い人が、女性層が、こんなにラジオを聴いているのだということの証明のために、radikoを使えばよいのではといいたいのだ。
インターネットの世界では、実際に番組を聴いている人の属性を相当詳細に把握できる。
そのデータで、再びラジオにクライアントを呼び戻せばいいと思っている。
では、何故今のラジオ局はそうしないのだろうか。
多分、そういう数字が生の形でクライアントに行くのを恐れているのだろう。
本当の数字に対して自信がない、そのデータを有効に使うノーハウがない、ということかもしれない。
媒体の価値をを詳細に分析され、ラジオ各局の現実がクライアントに完全に把握されるのが多分嫌なのだ。
しかし、もはや広告業界が求めているのは、宣伝効果を測定するための詳細なデータである。
その中には、適正価格という概念も当然含まれてくるだろう。
インターネットが一般化した以上、曖昧なデータではもはや許されない。
そういう時代になったのだということを、ラジオ関係者は肝に銘じておく必要があるのは言うまでもない。