フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

スポンサーの事情・3

チラシ広告についてこんな思い出があります。
私はFM局の営業マンだったわけですが、ある家電量販店からスポットを受注したことがあります。
家電、特にオーディオに力を入れている電気店はFM出稿をメインにしている時代でしたが、その量販店はどちらかというと、文字通り白物家電が中心でした。
たまたま夜11時台のスポット枠がベルトで空いたので、早速プロモートしたところ、それぐらいの値段だったら是非出稿したいという引き合いがあったのです。
確かにその頃(80年代)の逆Lゾーンの需要はすさまじく、スポット枠がベルトで空くなどということは稀有なことでした。(今とえらい違い!)
で、その後色々情報を交換できればと思い、クライアントさんにお邪魔するのですが、先方はいつも多忙で、私の相手をしてくださる人はほとんどおられませんでした。
それでも、何もしないで帰るのも何ですから、ちょっと作業を見させてください、勉強させてくださいと目立たないところで座っておりました。
そこは量販店の宣伝部なのです。
でも、何といいますか、そこには宣伝部という華やかさは少しもなく、社員の方は黙々と広告チラシのデザインや校正に勤しんでおられました。
事務所の中も決して明るくありません。
暗い中で、スタンドの蛍光灯をつけて作業をされていました。
そうです、まさしく作業。
自分たちの商品が売れるかどうか、他にも一杯ある電気店の中で、どうやって自分たちの店に来てもらえるか、これは戦争なのだという緊張感がそこには漂っていました。
対して、放送局で、効果があるのかないのか、自分でもよくわからないタイムやスポットを売っている営業マンとしての私。
一体、自分がたとえ人気のある時間帯のスポット枠を売ったとしても、それが本当にこの人たちのためになることなのだろうかと正直自問自答してしまったことを思い出します。
私たちが売ろうとする気持ちと、クライアントの方がそれを買おうとする気持ちが同じでなければ、それは商売とはいえないのではないだろうか。
必死になって作っておられる広告チラシ、それと比べて放送局が流すスポットは、価値的にイコールなのだろうか。
それは放送局の営業マンとしての私に一つの警鐘を鳴らしているのではないかと思ったものでした。
この続きはまた明日。