フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ラジオと料理

ラジオを作ることは、料理を作ることに似ていると前に書きました。
リスナーが望む料理を毎日出していれば、店が繁昌するかといえば、そうとも言えません。
リスナーが、常に自分が何を欲しているかを自覚しているわけではないからです。
奥さんから「夕食何にする?」と言われて、亭主が答える言葉の定番は「何でもいいよ。」です。
「何でもいいよ、おいしかったら」という意味かもしれませんし、「何でもいいよ、どうせ大したものは作れないだろう?」かもしれませんし、「何でもいいよ、どうせ言ったって、ああだこうだと文句言って、結局自分の好きなようにするくせに」かもしれません。
リスナーがこういう番組を聞かせてほしいと言っても、その通りにしてくれるわけはないという諦めもあると思うのです。
だから、一番いいラジオ局というのは、リスナーがあえて言わなくても(「何でもいいよ」という言葉であっても)満足できる料理を出す局だということです。
そんなに大きな望みを持たれているわけではないと思います。
たまに、「あ、これおいしい」と思えるだけで満足、ただし一番不快なことは、どうにも我慢できない料理を出されることでしょう。
テレビ朝日の「愛のエプロン」に出てくるような料理、ああいうものを毎回出されては亭主は二度と帰ってこないでしょう。
毎日のことです、いつもの料理でいいのです。
そして、たまに気のきいたものを出したら、意外とリスナーは感激してくれたりするものなのです。
ラジオのリスナーは、とんでもない浮気者ではありません。
テレビの視聴者とは、そこが大きく違います。
一つの放送局が気に入れば、しばらく他の局にチャンネルを換えようという気を失います。
今の私が、基本的にTBS、そして語学勉強にNHK第二を聞くという風に固定化された志向を持っているのでもそれはわかります。
一度ファンをつかめば、その関係は長いのです。
逆に言えば、それゆえファンにするのに手間もかかれば時間もかかるというわけです。
そこまで、考えて皆さんは番組を作っていますか?
放送を始めたら、すぐにファンがつくと思っておられませんでしたか。
他人のライフスタイルを、放送を始めただけで変えられる何かを提供できますか?
しばらく、この話、続けます。