フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

「若者とラジオ」

RABJ(日本ラジオ広告推進機構)のメールマガジンが「若者とラジオ」というタイトルで連載を始めた。
著者は上智大学新聞学科教授の音好宏氏。
ウェブサイトにもアップされているので、興味のある方は読んでみればいかがか。
http://www.rabj.org/mailnews/archives/2009/01/vol1_1.html
今の若者はラジオを聞かない、それは何故かを考えようという趣旨のようだ。
まだ第一回目なので、話は端緒についたばかりだが、その中で面白いなと思ったのは次のところ。


興味深いのは、地方出身の学生ほど、高校時代まで地元のラジオを聞いていたと答える傾向があることだ。 大学に進学し、東京での一人暮らしを始めたことと、ラジオの「卒業」とには相関があるようだ。言い換えれば、中高生の時に、特定の番組だけではあっても、ラジオを「熱心に」聞いていたという地方出身の若者は思いの外、多いのだ。なぜか。それは、地元のパーソナリティが、生活圏内のネタを織り交ぜて語りかけるからではないか。
生活圏のネタ、そう確かにそれは重要なキーワードだ。
東京から流れてくる番組には、それがない。
六本木周辺の情報とか首都高速の渋滞情報とか、それ自体が憧れの対象になるのが地方の若者だなどとよく言われる。
私は関西で育った為か、そんな情報を聞いてどうするのだ、ここは関西だ、東京のローカルな話題なんか自分と何の関係があると切って捨てるのだが、地方はどうもそうではないらしい。
J-WAVEの番組をコミュニティFMが好んで再送信するのは、その東京ローカルの情報に価値があると踏んでいるからだろう。
それでも、自分の生活圏のネタも聞きたいと思うだろうし、ついでにラジオは東京の情報も流してくれるのだから一石二鳥だろう。
このコラムに私が付け加えるなら、東京に出た若者がラジオを聞かなくなるのは、もはや東京の情報をラジオから得なくても、いつでもそこにあるからということも影響しているのではと思うことだ。
ま、話がややこしくなるので、この話はまた今度。


さて、「若者とラジオ」については、私が2008-07-24から08-13まで16回に渡って連載し、皆さんからのコメントもたくさん寄せられた。
結果的には、あまり具体的な結論まで得られなかったという印象があるが、RABJで音教授が、この後どんなコラムを書かれるのか、私としては大変楽しみにしている。
ついでに、2008-08-09の私の意見を再掲しておく。

「一つだけ関係者の方に忘れてほしくないのは、ラジオが直面している現在の問題は、ラジオ自身の問題というよりも社会的な構造に起因していると考えられ、直接的に問題に対処したとしても、解決は非常に難しいだろう、という点です。」(岡本一郎著「グーグルに勝つ広告モデル〜マスメディアは必要か」光文社新書
個々のラジオ局がどんな方策をとろうとも、根本的な構造が変わらない限り弥縫策にしかならない。
若者の生活習慣(ライフスタイル)をドラスティックに変えるムーブメントをラジオが提起できない限り、若者がラジオに回帰することはないのではないか。
かってのラジオは投網で若者を一挙につかまえることができた。
それだけ、若者はラジオの発する刺激(音、情報、あるいは臭い)に引き寄せられていたのだ。
今、無条件に若者を誘引できる「集魚灯」のようなものが何かあるか?
とりあえず、今日はメルマガの紹介ということで、又明日。