フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

金のない奴を仲間に入れるな・8

リッチ・コンテンツ、プア・コンテンツという概念はおわかりいただけますか?
ラジオ番組で、リッチかプアかというのは、音声だけなので判別しにくいかもしれませんね。
テレビだと、スタジオの広さや装飾とか小道具、出演者の数でリッチかプアかはわかりますが、ラジオだとどういうのをリッチ・コンテンツと呼べるのでしょうか。
平易にいうと、金がかかっているかいないかです。
出演者が一杯出るからリッチかというと、素人さんが次々に出てしゃべるだけなんて番組がリッチなわけありませんから、それだけでは判断できません。
有名人が出る?
ボランティアで出ていただいてる場合もありますから、それだけでは何とも。
永六輔さんなんか、地方のコミュニティFMに積極的に出たりされていますし。
永さんが出るなら、即リッチ・コンテンツでしょうと言うのでしたら、確かにそうかもしれません。
私ならリッチかプアかというのを判断する時に、この番組はアーカイブする価値があるかどうかを考えます。
何か適当に時間を埋めているだけ、出演者は思いつきをしゃべっているだけで、全体的なコンセプトが感じられないものは、即プア・コンテンツと判断できるのです。
アーカイブする価値のある番組は、リスナーの記憶に残る番組でもあるのです。
懐かしく思い出したり、そういえばあの番組でこんなこと言っていたなあ、ああ、録音しておいたらよかった・・、こういう感想が残るようでしたら、それはリッチ・コンテンツなのだと思います。
アーカイブする価値のある番組、これは腕(スキル)がないとなかなか作れませんよ。
ついでにいうと、その腕がふるえる環境がないと、優秀なクリエイターがいるだけで何とかしようと思っても無理です。
コンセプトも立派、企画も確かに面白い。
だけど、それを成立させる環境、特に金(制作費)をケチられたら、クリエイターは困るだけです。
しかし、局側はそれを意外と気づいていない、別に一緒じゃないか、どんな環境でも番組を作れるのが制作マンの仕事だろうなどと言いかねません。
プア・コンテンツなんか作りたくない、そう思っているディレクターって、意外と多いんじゃないかと思うのですが。
最近の例ですが、ある番組など制作会社に払える金はスタジオ代とか構成費込で20万です。
一種の啓蒙番組なのですが、毎回、色んな方の声を拾いたいと思っても、取材費がまるでありません。
交通費、出張費、機材費、編集費、取材した方への謝礼、そんな金はとても出せません。
仕方がないので、ディレクターが電話で話を聞き、それを台本にして出演者が読むだけです。
金はかかりませんが、説得性がイマイチです。
取材した人の声がないのならテキストで十分、アーカイブなんて番組ブログでやればいいのです。
こんな平面的な構成、とてもリッチ・コンテンツとは呼べません。
コミュニティFMの番組って、本当はどんどん外に出て行って、声を集めてくる、イベントを取材してくるというのが一番似合うメディアです。
にもかかわらず、そんな金はどんどん削られますから、段々同じようなスタジオ制作番組になってしまうのです。
リッチ・コンテンツでないと、なかなかクライアントの興味を引かないのは事実でしょう。
金がなくても何とかするのがラジオだといっても、多分限度があると私は思いますよ。