フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

金のない奴を仲間に入れるな・2

どれだけ面白い企画でも、金の裏づけがなければ維持できない、それがラジオだと書きました。
テレビは、面白ければ数字がとれる、数字がとれれば広告が売れる、番組が維持できるという構造があります。
言い換えれば、数字が取れない番組は、テレビにとって面白くない番組ともいえます。
このあたり何が面白い番組かに関しては議論が必要かもしれませんが。
ただし、ラジオにはリスナーが面白いと思ってもそれだけでは番組は続きません。
まず金の確保、次に面白い番組というプライオリティがあります。
リスナーが支持する番組といっても、しょせん1%とか2%の話です。
ラジオ局でトップといっても、2%前後なのですから、それで広告出稿が担保されるとは思えません。
昔、FM大阪に「上方FM寄席」という番組がありました。
当時話題になりはじめていた上方落語の公開録音番組なのですが、何故FM局が落語を放送したのでしょうか。
関係者から聞いた話では、FMの当時の売り文句はステレオだったので、とにかくステレオというコンセプトが前に出るような番組を考えろということになったそうです。
で、それなら落語はどうか、上下(かみしも)に振りながら話をするのでステレオ効果がよくわかるはずという意見が出て、じゃあとりあえずそれにしようというと言う話に。
ついでに、マイクも演者の右と左に2台置いて音を拾ったそうで、落語家の方からは前にマイクがないので、どちらに向いて話をしたらいいのか、かえってやりにくいという苦情が出ていたといいます。
それはそれとして、この落語番組は当時増えつつあった若い落語ファンに大いに支持され、公開録音(ホテルの宴会場を毎回借りていた)への応募も殺到して処理が大変だったという話も聞きました。
にもかわらず、この番組は5年間続いたものの一度もスポンサードされることはなく、最後には制作費の削減方針の下、番組打ち切りになったといいます。
ラジオの番組費など、大した額ではありません。
多分、「上方FM寄席」ぐらいの番組だと月40〜50万ほどあれば維持できます。
しかし、それぐらいの金も用意できない、プロデューサーもFMの営業もスポンサーを見つけられないという状態だったのでしょう。
タニマチの一つや二つぐらいなかったのでしょうか。
今の上方落語協会会長の桂三枝師匠は、自分が作り上げた人脈も活用しながら、あの「天満天神繁昌亭」を寄付金だけで建てたのです。
愛情というか執念というか、そのエネルギーは相当のものだったでしょう。
ある意味、それはイノベーター的志向だったと思います。
そんなもの作れるものか、そんなもの作ったって誰も相手にしないよという評論家的言辞を嫌と言うほど受けただろうと思いますが、それでも三枝師匠は「繁昌亭」をオープンさせ、そして今や連日大入りという誰も予測できなかった結果を生み出しました。
ラジオ制作者にも、それぐらいのやる気、執念はないのでしょうか。
面白い番組を作り、それにスポンサーをつける、それがラジオマンの心意気でしょう。
毎回毎回、金も使えない番組を惰性で作っているだけで満足なのかと苦言の一つも言いたくなるわけです。
ということで、この続きはまた明日。