フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

若者とラジオ・8

2008-07-01と21の二回、私は「グーグルに勝つ広告モデル〜マスメディアは必要か」(岡本一郎著 光文社新書)のラジオに言及した部分をとりあげた。
この中で、筆者はラジオ業界が選ぶべきソリューションについて言及されているのだが、最後に次のような警句を発しておられる。


一つだけ関係者の方に忘れてほしくないのは、ラジオが直面している現在の問題は、ラジオ自身の問題というよりも社会的な構造に起因していると考えられ、直接的に問題に対処したとしても、解決は非常に難しいだろう、という点です。
確かにそうだ。
ライフスタイルが変われば、当然ながら今までの位置をキープしようと思えばラジオ自身が変わらないといけない。
「今のままの自分でいたければ、自分が変わらないといけない。何故ならまわりはどんどん変わっているのだから」というパラドックスのような表現がある。
今のままを維持しようと思えば、自己革新(イノベーション)が常に必要であるというのは、頭ではわかってもなかなか実行できるものではない。
チーズはどこへ消えた?」の項でも言ったが、もはやチーズは消えてしまったのに、頑固にその場を去ろうとしないのが人間の性でもある。
ラジオ関係者の口から、それに似た言葉をよく聞く。
「ラジオはいい番組を作るのが大事だ。クライアントが望む番組よりもリスナーが望む番組を編成するのがラジオマンの仕事だ」と。
これ、確かにチーズがそこにあれば、正論であり、私も支持することに吝かではない。
しかし、もはやそこにチーズがなければ、単なる「引かれ者の小唄」である。
そんなことを言っている場合か、と。
ラジオはもはや、かったるい、かっこ悪いイメージを持たれ始めているのである。
ラジオが高齢者にターゲットをシフトするものだから、余計に若者層から離反される結果にもなる。
ラジオショッピングも、若者のイノベーターからすれば、最高にカッコ悪いものだろう。
ダサい喋り、古い情報、どうでもいい話、それらがラジオをますますカッコ悪くさせる。
だから、ラジオは一言こういうべきだ。
「ラジオは変わる!」
デジタルラジオになって、何が変わるのか、今のところ具体的なものは何もない。
TFMが推進しようとした「3セグデジタルラジオ」は、多分radio2.0的発想だったのだろう。
だが、中味はオールド・ラジオに映像をくっつけたものだけだった。
何だ、これはradio1.0じゃないか。
そんな失望もあり、若者のイノベーターの頭からデジタルラジオは消えつつある。
どこがradio2.0なのだ、その中味を見せろ!
TFMは、3セグ番組を制作する資金に行き詰まり、今は福岡のユビキタス特区に希望をかけている。
もちろん、今のところ、誰もそれをかっこいいとは言っていない。
もはや若者にとってラジオはカッコ悪い存在になりつつある。
関係者はそれを忘れてはいけない。