フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ラジオの衰退とインターネット

2008-07-01のこの欄で私は「グーグルに勝つ広告モデル〜マスメディアは必要か」(岡本一郎著 光文社新書)をとりあげました。
マスメディアのマーケティングに興味のある方には、非常に示唆に富む本だと思っています。
いずれ、この欄でまとめて皆さんに紹介しようと思っていますが、今日は、ラジオとインターネットに関する次の視点を上げておきたいと思います。


実は、ラジオだけが他のメディアと際立って違うポイントがあります。
それは、インターネットが登場するかなり前から、明らかな市場縮小傾向にある、という点です。
例えば、地上波民放ラジオの営業収入の総計は1996年の2780億円から2005年の2104億円へと約25%減少しているのですが、この減少トレンドはインターネットが本格的に普及した2005年以前から続いていて、1997年から1998年への一年だけで前年比8%も減少しています。
つまり、ラジオが衰退したのは、インターネットの所為だけではないと言っておられるのです。
ラジオの広告費がネットの広告費に抜かれ、このままではラジオは見捨てられるという危機感が業界にありますが、確かにこれだけを見るとラジオがダメになったのはネットが理由ではないということがわかります。
著者は、ラジオが衰退する原因に「若者がラジオを聴かなくなった」を上げておられます。
ラジオは「子供部屋メディアの盟主としての地位を失った」ことが原因で、若者層の生活文化(ライフスタイル)から存在感を失いはじめているというのです。
言い換えれば、若者達にあってもなくてもどちらでもいいのが、ラジオなのだということでしょう。
ラジオに生活の一部を預けている人は、いわゆる高年齢層だというのも、何となくわからないでもありません。
ラジオはインターネットの出現によって駆逐されようとしているのではなく、社会構造の変化によって若者から選択される要素を失い、ラジオ局はそれに真正面から対応するのではなく、高年齢層にターゲットをシフトすることで売上を維持しようとしてきたといえるのかもしれません。
ラジオに必要なのは、こういった問題意識であり、自らそのソリューションを生み出すことによって、自分達の組織を維持発展することなのではないかと思うわけです。
どこのラジオ局もやっていない方法論、要はそれをどう作り出すかなのでしょう。
考えてみる価値はあると思います。