フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

おいしいラジオ・3〜チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?』(扶桑社刊)、2000年のベストセラーである。
http://www.fusosha.co.jp/senden/2000/03019X.php
公式サイトには次のように書かれている。


迷路のなかに住む、2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見する。チーズは、ただの食べ物ではなく、人生において私たちが追い求めるもののシンボルである。
ところがある日、そのチーズが消えた!ネズミたちは、本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していく。ところが小人たちは、チーズが戻って来るかも知れないと無駄な期待をかけ、現状分析にうつつを抜かすばかり。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに旅立つ決心を・・・。
チーズを「おいしいラジオ」に変えて読んでみると、少し私の意図していたことがわかるかもしれない。
普通の動物なら、「おいしいラジオ」がなくなれば、本能的に他に自分の生きる道を探すだろう。
本当に実力のある人は、ラジオの世界からとっくにおさらばして、別のチーズのあるところに行っているだろうと読めないこともない。
でも、ほとんどの人は、ここに出てくる小人たちのように、理屈を言っては今までと同じことしかしない。
そして、今までと同じ待遇を要求していたりする。
いや、そんな待遇を要求をされても、もうここにはチーズがないのだ。
だから、別のところにチーズを探さないといけないと言っても、いやおれたちはここのチーズがいいのだ。
会社は、おれたちに定年までここのチーズを食べさせてくれると言ったではないか。


会社がチーズを隠しているのなら、この論争は意味がある。
しかし、ここにはもはやチーズがないとわかっているのに、まだ過去の約束の履行を迫られてもどうしようもないと会社はこたえるだろう。
個人的には、私は労働者の味方をしてあげたいところだが、チーズがないのにその分配を要求するのはある意味漫画ではないかと思わないでもない。
ちょっと考えればわかるだろう、ラジオへの広告費は年々減りつづけているのだ。
どんな理屈をつけようと、ラジオに広告費は戻ってこない。
頭のいい人なら、新しいチーズを探しに旅立つしかないことはわかるだろう。
放送局というブランドはまだ通用するし、新しいビジネスへのアドバンテージは十分ある。
遅くなればなるほど、ブランドの価値は落ち、アドバンテージは小さくなるだけだ。
もう、ここには「おいしいラジオ」はない。
それに気づかないことには、どこへも行けないと私は思うのだが。