フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

スペシャリスト・3

新入社員の頃、ひまそうにしている私に当時の上司が半分叱責するつもりで言ったことを思い出しました。
することがないなら、資料室にあるレコードを端から全部聞いていけ。
それを毎日1年間ほどやれば、君も一端の評論家になれるはずだ。
ジャズ評論家だ、ポップスの大家だと言われている先輩も社内にいるが、彼らだってやっていることは同じ。
ただ、多くの音楽に接してきたというにすぎない。
君が将来何になりたいかは私は知らない。
もし、スペシャリストになりたいというのなら、そんなところでボーとしていないで、モニター室にこもることだな。
多分、その方はスペシャリストになるつもりはなかったのだと思います。
何かに秀でているというタイプではなく、万事そつなくこなすタイプの人でした。
だから、スペシャリストとして存在していた私の先輩たちをあまり評価していないという印象をもった次第です。
スペシャリストになるのなんか簡単だ、人より多く音楽に接していればいいだけだと言おうとされたのかもしれません。
気障な言い方になるかもしれませんが、私は別に放送局に入ろうと思って入ったわけではありませんでした。
単なるはずみで入社試験を受け、何かの偶然が重なって合格通知を受け取ったにすぎません。
場違いなところに来たなという気持ちを持ちながら、毎日出社していました。
スペシャリストになる気もなければ、ジェネラリストなんて言われても意味すらわからず。
音楽は大好きでしたが、あくまで趣味の領域。
それを仕事にする気もありませんでしたし、その前にサラリーマンになる気なんかほとんどなかったのが事実です。
にもかかわらず、FM局の社員というサラリーマンになってしまい、スペシャリストだジェネラリストだと説教されて生きていました。
若い頃は、多分とんでもない問題社員だったと思います。
やれと言われたことは、問題なく処理できる力はありましたし、それはそれは熱心にやりました。
誰よりも速く、誰よりもレベルの高い結果を生むことを心がけました。
ついでに、要求されていないことまでやってしまうから、社内のバランスは無茶苦茶になります。
下手をすると、他人の仕事をとって、勝手にやってしまうので、先輩や同僚には嫌がられました。
指示待ちなんか、一切しない。
前にあることは次から次へとやってしまう。
飽きれば、さぼる、何もしないでボーとしている。
そこを冒頭の上司に見つけられ、説教されたわけです。
しかし、レコードを端から端まで聞けと言われても、そんな指示には従いたくはありませんでした。
好きでもない曲を、一端の評論家扱いしてもらうために聴くなんて、そんなバカバカしいことはしたくなかったというか。
好きなことをやっていたら、自然とスペシャリストになるのではないか。
好きこそものの上手なれだろうと勝手に思っていたというわけです。
今なら、確かにこういえます。
そんな考え方をしている間はスペシャリストなんかになれるわけない、と。
長くなるので、続きはまた明日。