フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ブランド・3

放送局には「進んでいる」というイメージがある。
いわゆる時代の最先端、そこに一番新しい情報が集まると思われてもいる。
そこで働く人も一流の人材だろうし、機材も一流、つきあう相手も一流だろうと漠然と思われていたりする。
そういった一流のイメージ、それがブランドに結びつくのだろう。
言い換えれば、最先端なイメージも作れず、働く人はボランティア、機材は学校のクラブ活動と同程度、つきあう相手も普通の人となれば、一流ブランドの構築は不可能ともいえる。
だが、じゃあ先ほど上げたような要素を持つ放送局って、実際どれぐらいあるだろうか。
確かに、東京のテレビのキー局ならそういう面もないとはいえない。
だが、実質的に一流といえるような放送局というのは、思ったほど存在しないのではないだろうか。
放送局=ブランドというのは、本当は虚構なのかもしれない。
そうあってほしいというイメージを、例えば広告代理店が作り出したのかもしれない。
放送局はブランドです、値段はこれこれです、買うなら今ですよ、とでも言うように。
音楽アーチストも同じようなものだろう。
ミリオンセラーだの、オリコン一位だの、カリスマアーチストだの、即日ソールドアウトだの、紅白歌合戦だの、ブランドを形づくるものは数多くある。
だが、その内実を考えれば、一体本当にこれらの要素がそのアーチストの本質を言い当てているのかと思うことも多い。
早い話、人気があるようにさえ見えれば、ブランドになるのだ。
そのブランドに人がひきつけられるだけなのだといえば、それまでだが。
ということで、放送局も一流のブランドらしく見えれば、それでいいのである。
ラジオ局でいえば、聴取率V35とか言っているのも同じ。
F1層1位だ、10代連続ナンバーワンだとかもその類。
イベントに10万人集まっただの、応募総数20万だの、ブランドをブランドらしく見せるものは多い。
ただ、昨日も言ったが、ラジオ局の人間は概ねこれらブランドには無自覚である。
ブランドは空気みたいなもの。
失ってみて、初めてわかる代物と言ってもいいだろう。
で、今や、その空気が少しずつ消えていっているというわけか。
息苦しい、そんなうめき声が少しずつラジオ局から聞こえ始めている。
放送局にいて感じる、私の率直な感想である。