フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

聞こえない

大阪にyes-fmというコミュニティFMがある。
1996年というから、今から12年前に開局したことになる。
私の知人が数多くスタッフとして参加していたので当時のことは良く覚えている。
コミュニティFMがそんなに儲かるはずがないという考え方をすでに持っていた私は、彼らにそれなりの警告をしていたつもりだったが、ほとんど相手にされなかった。
その時の理由はおよそ次の通りだった。
1.他のコミュニティFMと違って、この局は天下の吉本興業が経営するのだということ。
2.吉本所属のタレントがDJとして活用できるので、注目度が違うということ。
3.そういう番組だから、他のコミュニティFMにも番組販売が容易であり、十分利益が出ること。
とにかく、吉本が作るのだから、成功するに決まっているというニュアンスだった。
私の危惧はシンプルだった。
理由はどうあれ、あなた方はコミュニティFMというものをわかっていない。
無知なるものに、知恵を授けるのは難しいものだ。
今も、基本的な部分では変っていない。
yes−fmは出だしこそ好調だった。
スポンサーが目白押し。
信じられないほどの売上が最初はあった。
何しろ、私の知人達は、年収が1000万円近くにのぼるほど、ギャラ的に優遇されていたのだ。
今のコミュニティFMには考えられないことだ。
だが、月日がたつうちにメッキははげる。
スポンサーが次々に落ちていった。
理由はシンプルだった。
話題性はあっても、自分の住んでいるところにはまるで聞こえない。
聞こえないから、誰も聞かない。
リスナーがいない放送局に宣伝費をこれ以上出すわけにはいかないと。
コンテンツがどれだけゴージャスでも、聞こえないラジオに価値はないのだ。
他のコミュニティFMへの番組販売もうまく行かなかった。
当然だろう、どの局も番組を個別に買う金などあるわけがないのだ。
結局、私の警告どおりになったわけだが、だからといって誰もうれしいわけではない。
「あなた方は、コミュニティFMをわかっていない。」
わかったつもりで、次々に参入するコミュニティFM開局希望者の皆さん。
先日、B-WAVEが犯した電波法違反も、「聞こえない」というキーワードと関わりがあるのだと思う。
聞こえなければ、聞こえるようにすればいいと安易に思ったのだろうか。
放送局というものは、そういうものではないという当り前の原則。
心に強くとどめておいてほしいものである。