フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

デジタルラジオ考・2

デジタルラジオのメリットを少しまとめて書いておこう。
前に書いたことと重複するのはお許しいただきたい。


1つは何と言っても、電波の有効利用につながること。
電波に対する国民的な需要が高まっているにもかかわらず、アナログ電波が帯域を取りすぎていて事実上既存業者が独占している嫌いがある。
電波が国民の共有財産である以上、できるだけ平等に電波が使われるようにするべきであり、一部の業者の特権にみえることは避けるべきだろう。
ラジオをデジタル化することによって、より多くの人が電波を利用できるようになる、新しいビジネスチャンスにつながるというメリットが生まれて来るはず。
2つは、コンテンツがデジタル化するわけだから、流通も含めて利便性が高まるだろう。
音源のデータベースも整理されるだろうし、そのデータベースによって、番組制作が効率化されてくるだろう。
つまり、番組制作のコスト減の達成である。
3つは、番組のユビキタス利用というか、どこにいても自分のお気に入りの番組が聞けるようになるはず。
私が一番聞いているTBSのラジオが全国どこでもリアルタイムに聞けるとしたら、こんなに嬉しいことはない。
フェージングと、他国からの電波に悩まされながらラジオを聞くのは正直鬱陶しい。
デジタルラジオになれば、多チャンネルが実現されるだろうし、そうなるとTBSラジオはどこにいても聞けるということになるはずだ。


メリットというか、多分これらはリスナーからのメリットだが、他にもまだまだあるはずだ。
さて、では放送局側からのデジタルラジオのメリットは何があるか。
困ったことに、これといったものが何もないのだ。
ほとんどのラジオ局は、別に今のままでもいいのではと思っている。
周波数帯が変るのはかまわないが、使い勝手は今まで通りでいいとでもいうか。
アナログでいいじゃない、何故に無理してデジタル化しないといけないのというのが、本音ではなかろうか。
今までが成功したビジネスモデルだった。
まだまだこのモデルは破綻していない。
デジタル化しないといけないのなら、このモデルが破綻するまで待ってよというところだろう。
同じような次元の話は音楽業界からも聞こえてきていた。
インターネットを使って音楽配信なんてとんでもないと彼らは強く言っていたのを思い出す。
未だに、やれ著作権がどうの、やれ違法ダウンロードがどうのと言って、ユーザーが自由に音楽を利用しようとするのを邪魔ばかりしている。
新しい音楽業界のビジネスモデルなど作ろうともしていなかったというのが現実である。
今の放送局も、新しい業者の自由な参入を阻むか、参入を許しても自分達の権力の下に置くかばかりを画策している。
デジタルという合理性に背を向けて、既存のシステムを守ろうとしているのが今の放送業界ではないか。
今は、直接放送業界人でない私の、それが率直な感想である。