フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

センセーショナル

ラジオは漢方薬だとよく言う。
すぐには効果が出ることは少ないが、定期的に常用していると少しずつ効果が出てくる。
ついでに胃にもいいし、副作用も少ない。
ラジオはとにかく人にやさしいというイメージがある。
ラジオは無闇に人を煽動したりしない。
都合のいい世論を作り上げ、事件を意識的に盛り上げたりもしない。
センセーショナルな番組の作り方もしない。
ある意味、テレビとは対極の位置にある。
ラジオの作り手としても、何かほっこりとした気分でいられる。
テレビとなると、こうは行かない。
いつも、胃がキリキリ痛みそうな気がする。
テレビは、どうしても物事を単純化して、全体をフレームアップさせようとする傾向がある。
多分、その方が数字に結びつくからだろう。
少しでも、複雑な見せ方をしたら、あっというまにザッピングされる。
純化はすべてに適用される。
悪いのは誰それ、だからすべての演出をその悪のフレームアップに注がれる。
映像の繰り返し、言葉の繰り返し、字幕テロップの多用。
問題点がどんどん単純化される。
それ以外の考え方をテレビは欲しない。
純化を拒否するような発言をすると、「KY」の目がスタッフから一斉に注がれる。
ここは、みんなこう思うものだ。
ここでは、みんなこう反応するものだ。
それが本質的に正しいかはどうでもいい。
数字となって、返ってきた物が正義なのだ、と。
ラジオは、そんな単純化をあえてすることはない。
正義はこれだと気色ばむこともない。
そんなことをしても、数字は上がらない。
センセーショナルな番組作りは、かえって嫌がられる。
そんな話は、テレビで飽きているとリスナーは思っているかもしれない。
「ラジオは脳にきく」という本がある。
2006-12-21のこの欄で私も言及している。
ラジオは胃にもやさしく、脳にもきく、と言い換えてもいい。
少なくとも私はそんな気持ちで、ラジオを作っていきたいと思っている。