フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

スキルの継承

伝統のある産業の要諦は、クオリティの高いスキルがどう継承されるかだろう。
放送局に伝統があるかどうかは議論が必要だろうが、少なくともNHKを見ていると、日々スキルの継承に力点を置いているのがわかる。
こういう番組はこういう風に作れ。
ノーハウのパターンが倉庫に山積みされているという印象を受ける。
その次には、民放基幹局のAM放送が位置付けられるだろう。
全部が全部そうだと言うつもりはないが、スキルの継承はまあまあなされているように思う。
FM局となると、どうだろうか。
TFMやJ-WAVEでも、継承がうまく行っていると断言することは私にはできない。
何しろ、制作者はほとんど外部のスタッフ。
変な比喩だが、大量生産型の日本酒のブランドと構造が似ているかもしれない。
外の醸造メーカーが、この酒はこんな感じかなと独自に作り、それにブランドをつけて出荷しているというか。
消費者は、そのブランドは知っていても、クオリティまではあまり問わない。
ま、これぐらいの値段なら、こんなものかと毎日飲んでいるような気がする。
クオリティの高いスキルの継承は、今のようなFMの制作環境では無理だといえば言いすぎだろうか。
もちろん、ミキシングのスキルはデジタル導入によって昔との質的な違いは大きい。
かってのスキルをデジタル環境に当てはめようとしても、現場と軋轢を生むだけである。
手段の違いは、過去のスキルを排除することも往々にしてあるようだ。
かって、AM局で番組を作っていた人がFM局で番組を作ろうとして、若い人たちから反発を受けたなんてこともよくあった。
FM局で問題なのは、どのスキルを継承し、どのスキルは不要として廃棄するかという判断の難しさかもしれない。
放送局経験者という方は、今では大して使えないスキルを現場に持ち込もうとしがちである。
そのスキルは県域局ならまだしも、コミュニティFMには通用しないのではという声も現場の方からよく聞く。
これは技術的な面でもそうだし、制作の演出面でもそうだし、営業の現場においてもそうだろう。
何が有効なスキルなのか、それを曖昧にして経験者の独断ばかりが跋扈すれば、局内のテンションは明らかに下がってくるはずだ。
伝統のない職場には、まず通用するスキルとは何かから議論する必要があるかもしれない。
コミュニティFMはいたずらに過去のスキルを強調する経験者よりも、コミュニティFMが必要なスキルとは何かを試行錯誤して見出す、センスのあるスタッフの方がより望まれているのではあるまいか。
そんな人材、皆さんの局では育っておられるだろうか?