フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

リスナーのつかみ方・4

「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」という諺をふと思い出した。
水を飲みたくないと思っている馬に水を飲ませようとしても無理なように、本人に意欲がなければ回りが幾ら騒いでも仕方がないというような意味だ。
ニートやパラサイトにいくら働けと言って親や社会がやきもきしても何の役にも立たない、今ならそういう説明の方が納得しやすいかもしれない。
リスナーのつかみ方にもある意味同じような側面がありそうだ。
聞こうという意欲(インセンティブと言い換えてもいい)がなければ、その人は絶対にリスナーにはならない。
どうすれば馬が水を飲みたい思うようになるか(リスナーがラジオを聞きたいと思うようになるか)、単なる思い付きだけでその解答が生まれるはずもない。
リスナーのつかみ方には、二つのプロセスが関わってくる。
最初のプロセスは、馬を水辺に連れて行くこと、すなわちラジオの前に人を呼ぶプロセス。
次に、馬に水を飲ませること、すなわちラジオを聞いてもらうプロセスだ。
ラジオの前に人を連れてくるのは簡単だ、と果たして躊躇無く言えるかどうか。
コミュニティFMとなると、それほど簡単だとはいえないような気がする。
その上に、ラジオを聞いてくれるようになるかどうか(そういう生活態度に変容させられるかどうか)だ。
ラジオの前に人を連れてくるのに金を使いすぎて、ラジオを聞いてくれるような中味を作る金がないという事情もあるだろう。
馬を水辺に連れて行くのには成功したかもしれないが、水を飲ませるのに往生している局も多そうだ。
前者は、ノーハウを持つ人も多い。
マーケティングの知識は、ほぼ水辺に連れて行くための知識に費やされる。
だが、後者、水を飲ませるのは、結局人と人とのコミュニケーションそのものだ。
人を動かすメッセージこそが、ある意味リスナーの生活態度を変容できるのだと私は思う。
メディア・イズ・メッセージ、メディア・イズ・マッサージ。
覚え間違っているかもしれないが、マクルーハンがそれらしいことを言っていた。
リスナーをつかむ基本は、メッセージであり、それは心のマッサージでもある。
何か私ひとりガッテンしているような気もするが、人の心に届くメッセージのない番組にリスナーはつかないのは事実だろう。
あなたの作る番組にメッセージはあるか。
今日はそれを問い掛けてみることにしたい。
私を浅はかだと思い切り笑い飛ばすコメントやメールなど、今回もお願いできればと思っている。