フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

リスナーのつかみ方・5

昨年の10月から頼まれて、ある番組の制作を始めたことは既に書いた。
クライアントからの要望は色々あり、それに対応しながらもどうやればリスナーをつかめるかを自問自答してきた。
既に複数回のレーティング調査を経てきたわけだが、数値的には毎回あがってきたように思える。
こういう作り方をすれば、多分こういうリスナーがついてくれるのではないかと思ったが、今のところその予想は外れてはいない。
しかし、どれだけ頑張っても1%を越えるようなことは当分はないだろう。
偶然に聞いた人が、あれ?面白い番組をやっているなあと反応するような番組作りをしている。
フックをそう言う風につけていると言い換えてもいい。
大々的に宣伝して、ぜひ聞いてくださいというほどの目玉があるわけではない。
ゲストもいないし、出ている人もそれほど有名ではない。
とにかく、何となく面白い、時間があれば来週も聞いてみようかなと思えるように作っている。
漢方薬って、名前はよく知らないし、すぐに効くわけでもないのに、知らぬ間に飲む人が増えているという現象が起きている。
口コミが効くのか、ずっと飲みつづけていて何となく効いているような気がするというか、漢方薬の人気は根強いものだ。
ラジオというのは、そういうメディアだと私は思っている。
瞬発力で聞かせるものではない、そんなのはテレビにかなわない、ひょっとしたらネットにもかなわないかもしれない。
ラジオは、地味にそれでも心に深くしみいるような作り方が必要だと思っている。
喋り手の声質、話し方の癖や間、知識、趣味、話の中味、人との対応の仕方、そして曲の選び方、カットインのタイミング。
演出に使えるものは、無数にある。
要は、それをどれだけ知っているかの勝負。
番組が始まり、冒頭でリスナーの流れさる時間をとめる、言葉が左から右に流れるのを脳の中でしばしとめる、いわゆる「つかみ」のテクニック。
構成の起承転結、これは言葉だけではない、音楽も間もすべてにけじめをつける。
出した手足に目鼻をつける、などとも言う。
砂川捨丸師匠の十八番の芸を思い出してしまうが。
迷いも悩みもある、リスナーのつかみはこれで本当によいのか。
数字は一歩ずつ前に向かって進み始めた。
その先に何があるのか、浅学にして私にはそれが読めない。