フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

デジタルラジオの本格放送、開始?

今日の東京新聞に「来月、デジタルラジオの本格放送開始」という特集記事が出た。
TBS,ニッポン放送文化放送が、それぞれクラシック、ラブソング、アジアのエンターテインメント情報に特化したデジタルラジオ放送を、四月から実施するという。


「AMは“総合雑誌”。デジタルでは専門性の高い“雑誌”を出したい」。
クラシック専門放送「OTTAVA」(オッターヴァ)をスタートするTBSラジオの三村孝成・デジタル推進部長は力を込めた。
イギリスのクラシック専門局「Classic FM」がモデルで、マニア向けではない曲の流し方が特徴。全編ではなく、さびの部分や楽章単位で流し、曲の合間にミュージシャンのゲレン大嶋らプレゼンター(番組の司会役)が時折会話を挟む。「クラシックが流れるだけで、生活に上質感が漂う」と三村部長。番組は、デジタルラジオの受信機だけでなく、ダウンロードして持ち運べるポッドキャスティングや、日本初のインターネットオンデマンド放送でも楽しめる。CMなど営業面でも「上質感を求める“新富裕層”狙いのクライアントは多く、とても評判がいい」という。
クラシックの上質無料放送という市場ができるかどうかが課題だが、考え方的には的外れではない。
いわゆる少数派狙い、マニア狙いのラジオということになる。
ニッポン放送文化放送も考え方としてはさほど変わらない。
これにNHKも四月から内容を充実して、携帯を使う若者層向け番組を強化するとということだった。
デジタルラジオ本格放送開始!
なるほど、そういうイメージはできつつあるなあ、という感じだろうか。
しかし、である。
問題は、先ほども書いたが市場が形成できるかどうかにかかっていると私は思う。
はたして、そんなに手放しに未来を礼賛できるだろうか。
クラシック専門放送には、幾つかの競合がある。
無料放送としてはNHK−FM。
有料放送として、ミュージックバードスターデジオUSEN等々。
すでに先行してサービスを始め、そこそこのユーザーを獲得している。
ただ単に、高音質、クラシック放送というだけでユーザーが生まれるのか。
ユーザー像が固まらないのに、CMなどの営業面で評判がいいというのは、どういうことだろう。
ここに、従来の民間放送人の陥りやすい考え方がある。
自分達が面白い放送をすれば、クライアントは自然とついて来るという素朴な発想である。
今のコミュニティFMを悩ませている根強い放送事業観の原型がここにあるのだ。
俺達がやれば、面白いに決っている、クライアントが付くに決っているというオメデタイ商売論である。
確かに、今までの放送はそうだったかもしれない。
しかしデジタルラジオも同じだという根拠はどこにあるのだろう。
こういう考え方、PCM衛星ラジオ放送が始まった時も、異口同音に聞いたのを思い出す。
「問題は、2011年まで出力が2.4KWまでに限定されていること」などという指摘を関係者はしているが、それだけでもないだろうと私は思う。
デジタルラジオ・チューナーが携帯に搭載されるようになっても、それだけでCMが増えるはずもなし。
話題にはなるが、それで商売に直結するわけではないことぐらい誰でも分かる。
ある人のセリフ。
「とにかく話題になればいいのです。私がいつまでもデジタルラジオ担当というわけでもありませんし、問題が色々起きても、今を何とか瑕疵なく過ごせれば私はそれで問題ないのですから。」
デジタルラジオ関係者の本音かもしれない。
手放しで可能性を語る現場の人間がはたして存在するのか、私が一番気になっている点である。


東京新聞の記事全文はこちらを参照ください。)