フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

顧客像・5

ラジオ局がリスナー獲得にあまり力を入れなかったのは何故でしょうか。
そんなことはない、力を入れていると言われる局もあるかもしれませんが、私がそう考えてしまう理由を少し書いてみたいと思います。
何度も指摘していますが、県域や広域のラジオ局はリスナーをそれほど意識する必要はありませんでした。
ラジオ局→リスナー→スポンサー→ラジオ局という構図をそれほど考える機会がなかったともいえます。
ラジオ局はリスナー獲得に投資しなくとも、キー局からネット料が入ってきました。
番組を作らなくとも、自動的にキー局から番組が供給されました。
この関係は、ラジオ局→キー局(広告代理店・スポンサー)という単純な構図で説明できたのです。
リスナーは二の次、競合するものがほとんどないのですから、流していればリスナーは自然と聞くだろうという推測で事足りていました。
キー局の売上が伸びれば、すべてのラジオ局の売上も伸びるのです。
その範囲内でラジオを経営していれば、社長が無能であろうとなかろうと会社が破綻することなどありえません。
それでは毎日が退屈だという社長も出てきて、理屈をこねて無駄な投資をしたラジオ局もあったようですが、大勢に影響を与えることもなかったと思われます。
なにしろ、次年度に出費を押さえれば、簡単に業績は回復するぐらい営業基盤はしっかりしていたのですから。
ま、それもついこの間までと言ったほうがいいかもしれません。
ラジオが広告費に占める割合は減る一方ですし、収入の絶対額も減っています。
2/3発行の「民間放送」では、ラジオの2006年度の営業収入は3.9%減、2007年度予測は3.1%減という数字を発表しています。
その結果、1986年度の水準にまで落ち込むとまで指摘されており、その後も回復する材料は何もなさそうです。
リスナーへの投資を怠っていたツケが回ってきたとでも言うのでしょうか。
この現状で、キー局はさまざまな善後策を打ってきています。
エフエム東京デジタルラジオ重視政策も、今までのラジオ局→スポンサー(広告代理店)→ラジオ局という誤った認識からの脱皮をはかっているといえるのかもしれません。
ただし、TFMはネット局のことまでこの際かまうつもりはないといいかねません。
ネット局は、自分達の力で何とかしろ、行きがかり上、手伝えということがあれば手伝うつもりはあるが、というところではないでしょうか。
そのあたりJFNと相談してくれ、多分そういう言い方でキー局としての立場をあいまいにするものと予想されます。
私としては、繰り返しになりますが、ラジオ局→リスナー→スポンサー→ラジオ局という構図をもう一度考え直してほしいと思うだけです。
コミュニティFMも県域FM局も、これからは同じ問題意識をもって、新しいラジオの世界を考えるべきではと思うのです。
リスナーへの投資、よりユーザーを獲得できる番組作りへの費用投下に、意識を少しずつ変えていくべきではないかというのが、とりあえず今日の私の大きなお世話です。