フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ホワイトカラー・エクゼンプション

ホワイトカラー・エクゼンプション、WEなどとも言う。
最近は、残業代ゼロ法などと呼ばれたりする。
若者を安い賃金で働かせるついでに、いわゆるベテラン層も同様の条件で働かせようというのかもしれない。
20代や30代前半は残業代含めても生活ギリギリの給料で働かせ、熟練したら役職につくこともなく残業代カットという条件で働かされる悪法と言う若者もいる。
確かに、昔のように、ある年齢になるとほぼ管理職になれるという時代ではない。
年をとれば自動的に給与が上がるという時代でもなくなりそうである。
従来あった秩序が失われ、そこに新しい賃金制度が導入される。
その一つが、WEなのだと。
前の秩序と新しい秩序とどちらがいい?
若い世代に本来希望を聞くのが普通なのに、政府はそんな面倒な作業を省略し、いきなり法整備をはかろうとしたと見える。
またまた、若い世代を無視したわけである。
これは、会社だけの問題ではない。
政府が会社の要望を受けて、それを実現するための制度を整えるという発想ですむ問題ではない。
若者を救済しようという発想など、ここにはまるで感じられない。
どうしてなのだろう、何故に若者の意志を斟酌しようとしないのだろうか、今の大人たちは。


WE法、私もそんな言葉は初耳だったが、個人的にはそれほど抵抗はなかった。
私がラジオ番組を制作している時、残業時間は月に100時間ぐらいコンスタントにあったかもしれない。
別に会社に無理やりやらされていた記憶はない。
いい番組を作ろうと思えば、自然それぐらい時間がかかったのである。
他の人から見ると、何故にそんな余計なことをするのだと思われたようだ。
10曲程度を選曲するために、1000曲程度を聞く。
そんなの適当な曲でいいではないかと指摘されたりしたが、最適な曲を選び出すのに手は抜きたくなかった。
3分程度のトークのために、何時間もかかって資料を集め、読んだりする。
情報をもっていそうな人には、電話をかけて取材したり、実際に会って話を聞く。
会社は何もそこまでやれと言っていない。
わざわざ取材をするのと、市販の雑誌から文章を抜き出すのと、質的にどう違うのだと言われかねない。
そんな残業代は認めない、おまえの仕事にそんな価値はないと言われかねない。
だから、自分が番組に使った時間のすべてを残業代として会社に要求しなかった。
いわゆるサービス残業だが、お金のことでゴチャゴチャ言われると、番組への自分のテンションが下がってしまう。
サービスならサービスでよいのだ、やればやるほど自分の血となり肉となって、自分のプラスになるのだと思っていた。
そういう意味では、私はWEならWEでよかったのである。
私の作ったものが後に評価されると思えば、金のことなどこの際重要ではなかったのだ。
ただし、だからといってどんな仕事もWEにされたらたまったものではない。
結果的に会社が得になり、こちらが精神的に辛いだけとしたら、そんな制度は願い下げである。
どんな職場にもWEが適用されるなんてのはナンセンス以外の何ものでもない。
今の政府が、何か大衆をだまそうだまそうとしているように見えるのはどうしてだろう。
そんな悪意はないと言うかもしれないが、最近ますます信用できなくなっている。
何しろ、一番の被害者である若者が政府に怒りの刃をさほど向けていない。
ストレスが社会にたまり、そのはけ口が弱者に向かうのなら、こんな悲劇はないと私は思う。
若者は、何故怒りをもっと為政者にぶつけないのか。
人間とは、もともとそういう性癖をもった生物であると言われれば、黙るしかないのかもしれないが。