フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

聞きたい番組

昨日の番組は面白かった。
自分がいる街を、違った視点で語ってくれる人がいる、同じ道、同じ建物を題材にして、私の経験とは全く違う話が紡がれると、想像力が刺激されて楽しいのだ。
ここに人の歴史がある、街をレポートする時は、ぜひその視点を忘れないでほしい。
人気の店の紹介とか、おいしい店の紹介を否定はしないが、それではあまりに平面的すぎやしないか。
作り手側に、空間を紹介するだけでなく、時間軸の発想も加えてほしいと思うのだ。
この空間はずっとこうであったわけではない。
今は消えてしまった町、でもどこかを掘れば再びあざやかに栄華がよみがえるかもしれないのだ。
この町の地主は誰か?
その人は、この土地をどういう経緯で手に入れたのか?
この町を、隆盛に導いた人は誰か?
今、その人はどうしている?その人の子孫の方は?


私は、奈良県の生駒の生まれである。
ケーブルの駅のそばが誕生の地だというが、ほとんど記憶はない。(あたりまえだが)
今は生駒は大きな町になっている。
大阪のベッドタウンとして、今も北へ南へと発展を続けている。
だが、そこに住む人には、私が生まれた頃の生駒など知る由もない。
近鉄生駒駅がどれだけ田舎の駅であり、王寺へ向かう支線(信貴山鉄道と昔言った)が1両電車で、駅はすべて無人駅であったことなど考えもできないだろう。
線路沿いには、在原業平が「からくれないに水くくるとは」と詠んだ龍田川が流れ、その水は岩すべりで遊べるほど清澄であったこともイメージできないはず。
当時を知る人に語って欲しいことはたくさんある。
私が育った、大阪市旭区千林、あのダイエー発祥の地である。
辛うじて、「主婦の店」として始まった頃の記憶はあるが、そのあたりの話をもっと知りたいとよく思った。
野坂昭如さんの「エロ事師たち」という小説、その舞台も又、この千林なのである。
だいぶ前の「アサヒグラフ」に、小説の舞台ということで野坂さんが千林に来られたという記事があった。
写真を見て、びっくり。
それは、私の家のそばの駄菓子屋の前だったからだ。
へえ〜、この町が小説の舞台だったのか〜。
コミュニティFMだったら、もっと町を丁寧にとりあげてくれるのではないか、と思わないでもない。
ここはもと川が流れていて、強い雨が降るたびに浸水していたとかいう話、きっとその類の話がいくらでもあるはずだ。
少なくとも、私はそんな話をしてくれるラジオが好きだ。
どの店の何がおいしいという話だけでなく、時間軸上の町の話をぜひ聞かせてほしいと思っている。