フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

音楽の力・3

さて、「急流」の話を書く。
まだ私が子供の頃、ラジオから流れてきたのがフランク・プウルセル楽団の「急流」だった。
(同曲は1955年のサンレモ音楽祭入賞曲)
「急流」というタイトルのわりには、ゆったりとした弦の調べで、さながら「わが祖国」の「モルダウ」のような印象すらあった。
子供の頃の私のお気に入りの曲の一つというところだったろうか。
その後FM局に入社し、レコード室でほとんどの曲がモニターできるようになり、私は昔好きだった曲を引っぱり出しては、試聴室で聞いていた。
もちろん、プランク・プウルセル「急流」も中にあった。
だが、私は期待に胸を膨らませながらそのレコードに針を落とした時、その高まりは一気に萎んでしまった。
「何だこれ?これが急流?」
アレンジが全然違っていたのだ。
私が慣れ親しんだ「急流」ではない。
レコード室には数枚の「急流」の入ったフランクプウルセルのLPがあったが、みんな私の愛した「急流」ではなかった。
あの「急流」は何だったのか?
私は夢でも見ていたのだろうか?
例えば、番組にフランクプウルセルの「急流」をかけて下さいというリクエストが来たらどうしよう。
もし、私の知らないこの「急流」がかかったら、私なら一気に落胆するだろう。
「違う、これは私のリクエストしたものじゃない。」
せっかく、倍率の高いリクエストを採用してもらえたのに、これではかえって興醒めということにならないだろうか。
幸い、そんなリクエストは結局一度も私の番組には来なかったが、何となく気にしながらディレクターを務めていた。
私の「急流」はどこへ行ってしまったのか。
それとも、私の単なる記憶間違いだったのか。
もやもやとした気持はしばらく続いた。
その答えは、それからずっと後になって明らかになるのだが、その話はまた明日に続かせてもらう。