フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

失敗物語

藤田晋さんの成功物語を取り上げてきましたが、これを無条件に賛美してはいないということを昨日少し書きました。
ベンチャービジネスというのは、本当にもろいものであることはIT業界の方ならよくおわかりだと思います。
成功者として周りはチヤホヤすることもありますが、その転落はあっけないものです。
ライブドアホリエモンM&A村上ファンドは皆さんもよくご存知だと思いますが、私もIT系の仕事をやってきたものとして、ジェットコースターのような人生を歩んだ方を嫌と言うほど知っています。
藤田晋さんの成功物語もこれから何が起きるかわかりません。
とにかくベンチャー企業にとって上場するということは、その時から市場の過剰な期待がかけられるということであり、それゆえ、その後経営者は株価を毎年どう上げるか、配当金をどう出すかばかりに奔走させられるという事態が待っているのです。
少々の無理をすることはベンチャー企業家の宿命でもあり、それゆえホリエモンも村上さんも司法の場に引きずり出される結果を招いたのだと思います。
禍福はあざなえる縄の如し、いいことばかりが続くわけではないというのがこの世の定めなのでしょう。
こういう成功物語を読んだ時にいつも思い出すのが、板倉雄一郎さんの書いた「社長失格ーぼくの会社がつぶれた理由」(日経BP社刊)です。
ハイパーシステムという、顧客データベースと広告を結びつけたビジネスを考案し、一時はITの寵児としてもてはやされました。
まだIT時代が端緒についた頃、10年以上前の話です。
世の中はバブルに浮かれ、市場の金も大挙して板倉さんの会社「ハイパーネット」に流れ込んでいきました。
しかし、その後バブルははじけ、強烈な貸し剥がしが発生します。
儲かろうと儲かるまいと関係なしに、融資した金を回収しようとする金融界、その下降気流にあえばどんな可能性のある企業も維持できるものではありません。
毎日毎日電話でアポをとる地道な作業も、金融界にはただ冷笑されるだけでした。
何をしようと、金融界の言うことはただ一つ、「貸した金返せよ!♪」。(by ウルフルズ


なお、Amazonの書評に、次のようなくだりがあるので引用しておきます。
とにかく、失敗物語というのは、成功物語以上に教訓的であるのは事実だと私も思います。


なぜ、ハイパーネットは挫折したのか。当事者中の当事者だった「元社長」が倒産の理由を1冊にまとめたが、決して恨みつらみを述べただけの告白本ではない。著者の体験は、日本ではなかなかベンチャー企業が育たない原因がどこにあるのかを浮き彫りにしている。

米国のビジネススクールでは、事業に失敗した経営者が講師となり、体験を語る授業が珍しくないという。倒産までの過程を書き記すことで、その役目を果たそうという著者の熱意が、悔恨の念とともに伝わってくる。