フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

橋本治

最近、橋本治さんの「貧乏は正しい!」(小学館刊)というシリーズ本にはまっている。
1990年代に「ヤングサンデー」で連載していたものを加筆して単行本化したものだ。
その単行本の一つ、「ぼくらの最終戦争」に次のような表現があるので引用したい。


話というものは、一人で勝手に展開されていくものではない。話というものは、話し手と聞き手の両方によって作り上げられていくものだから、聞き手の質によって、出来上がる「話の質」も違ってくる。諸君らがもっといろんなことを知っていてくれたら、話はもっと簡単だったろう。そして、諸君らが、もっともっとさらにいろんなことを知っていてくれたら、私はこんな厄介な話を連載でやる必要はなかっただろう。私は、「じゃ、後はきみらにまかすから」の一言で、メンドーなことはなんにも言わなくてすんでいるー「分かっているんだろう?」とだけ言えばいいのだ。
しかし、諸君らはあまりにもいろんなことを知らない。だから私は諸君らのために、いろんなことを話さなければならなかった。
なんで私はそんなことをするのか?
それは「世の中にはこんなにもいろんな矛盾がある」ということを諸君らに教えて、「きみらでそれを何とかしてくれたまえ」と言うためだ。
この本は17歳の若者達に対して、橋本さんがメッセージを送る形式になっているため、文章がややぞんざいな感じになっている。
実は、この橋本さんの考え方と、今このブログを書く私の考え方が大いに共鳴しあっているのである。
もちろん、私はこのような上から目線でコミュニティFMを考えるつもりは毛頭ないのだが、言わんとするエッセンスは同じだなあと思うわけである。
コミュニティFMに対して、私という話手がいて、読者という聞き手がいる。
その方々が、コメントとかメールとかの形で、反応していただいている。
その質が高ければ高いほど、私の話の質も上がり、このブログ自体の質も上がるのだ。
コミュニティFMを始めたばかりの人は、おそらく放送という全体を把握している人などほとんどいないだろう。
中堅と言われる人でも、なかなかそこまで行っている人はいないかもしれない。
私がこのブログをはじめた契機は、ネットにコミュニティFMの情報がほとんどなかったから、制作者の方々にエールを送ろうとしたことだった。
コミュニティFMは、皆さんが説明されているような存在ではないということを伝えたかったのだ。
コミュニティFMはこんな矛盾がある。その矛盾の元凶は多分このあたりにあるはずと私は書いてきたつもりだった。
だから、私が何をするというわけではない。
後は、「きみらで何とかしてくれたまえ」ということを丁寧に言ったような心境なのだ。
教えるなどという不遜な気持は私には全くない。
誤解を恐れずに、とりあえず今日はそう書いてみた。