フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

デジタルラジオ考・4

さて、デジタルラジオを電波の効率利用の点から評価してきたのが私でした。
ただ、唯一気がかりだったのが、役所とTFMが突然言い出した「マルチプレックス」という事業体でした。
当時はVHFの4〜12CH帯をすべて「マルチプレックス」に割当て、それを「マルチプレックス」の裁量でコンテンツ供給事業体に販売しろというような話になっていました。
言うならばスカイパーフェクトTVのラジオ版みたいな話でした。
個人的には極めて腑に落ちない話です。
そんな巨大キャリアを作ってどうするのか、電波帯を従来のように放送を実施したいという事業体に割り与えればいいではないか、デジタルになったら今より多チャンネル化するはずだからと思ったのです。
しかし、話はどんどん進んでいき、出資会社も従来の放送事業者が大部分を占める結果になりそうでした。
TFMの出資割合はダントツで、その頃TFMは場合によってはアナログ波の返上もありうるという発言をされるようになりました。
マルチプレックス」は、ラジオをデジタル化するに当たってはベストの選択である。
イギリスでは、この方式によってラジオ業界の売上が飛躍的に伸びたという報告書も出されました。
もはや、デジタルラジオのスキームは決まった。
後は、計画表にそって進むだけだという雰囲気になっていました。
私のその時の気持は、「何だかなあ〜」の一言でした。
もっと違う方法があるのじゃないか、第一こんなサービス、誰が望んでいるのかと。
マルチプレックスに払う電波使用料は一つのチャンネルあたり、年間億単位でした。
国に年間7億しか払っていない放送業界(テレビも含めて)が、ラジオだけで何十億以上もマルチプレックスに払うなんて、どこかバランス狂っていないか?
正直、そこにグランド・デザインは描かれていない、理念や思惑ばかりが先行しているという疑念を私は持ちつづけていました。
また、それはデジタルラジオ関係者と話したり、その一部の事務作業を代行したりするたびに、強くなって行ったというのも事実でした。
このスキームには未来はない、こんな事業に何百億をつぎこむなんて正気の沙汰じゃないと思ったりしたものです。
そして、当然と言えば当然といえるでしょうが、「マルチプレックス」構想は破綻しました。
放送業界の利権保持のために、貴重な国民の財産を私するなんて許されることではないと今も思っています。
もちろん、こんなことを声高に言うのは不謹慎のそしりを受けるでしょうが、これだけ構造改革が叫ばれている時代に、アンシャン・レジュームを当然のように主張される方は一体何を考えているのでしょうか。
とにかく、今はいびつな形でデジタル・ラジオがスタートしています。
試行錯誤パート1と考え、これを固定的に考えないようにすることです。
私がデジタルラジオに興味がなくなった、しばらく静観したいという気持の原点は多分そういうことです。