フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

転載:元気のない業界

今日は、5年ほど前に私が書いた「元気のない業界」という書き込みを紹介する。
コミュニティFMにも若干触れているので、ご参考までに。


最近、音楽業界が全く元気がない。
売上減に対抗できる方法が全く見出せないらしい。
違法コピーをとりあえず前面に出して、売上減への対策を考える政策を打ち出しているが、それだけが理由だとは本当は誰も思っていない。
とにかく、前からの課題であったコピー対策を、アリバイ程度にやるしか当面することがないのだ。
では、どうすれば音楽業界がもう一度活性化するか?
私の意見として1つだけあるのは、音楽で飯を食う人口を増やすしかないということだ。
業界を活性化させる為には、まず活性化した人を増やす事である。
人が増えれば、そしてその人が活発に行動するのであれば、その業界はまぎれもなく活性化する。
今の音楽業界はその逆だ。
リストラで、どんどん人は減っている。
売上が減れば、人件費を減らす。
そうすると業界からどんどん人は減って行く。
人の少ないところで、どんな企画をしようと、金をどれだけ使おうと、人が一杯いた時と同じ効果は得られない。
音楽業界、特にレコード会社って、私が就職した頃は学生の憧れの会社だった。
放送局(特にFM局)とレコード会社の併願というのは当時多かった。
彼等の望みは音楽(特に洋楽)を作る側にいたいということだった。
それだけ、彼等は優秀であったし、レコード会社もそういう連中で活性化していた。
いつのまにか、音楽業界は憧れでも何でもなくなって行く。
レコード会社に入った連中の第一希望は洋楽担当だった。
邦楽なんて担当したくない、という連中は相当いたのも事実だ。
しかし、時代は移り、今や音楽業界は邦楽、とりわけJ-POPなどと呼ばれるジャンルで持つようになる。
とはいえ、こんな業界では、優秀な学生は志望しなくなった。
芸能界に憧れる連中を馬鹿だとは言わないが、私の時代にレコード業界へ就職しようという学生との能力の差は否定出来ない。
社員の質の低下、優秀だった連中のリストラによる業界離れ、どんどん減って行くレコード会社の社員数。
元気のない業界は、おしなべて一時期より人を減らした業界である。
労働力をロボットに置き換える事はできても、活性化の主体は今でも人間である事は明らかである。
その点でいくと、放送界はどうだろう?
コミュニティFMやCATVの出現により、放送業界の人口は昔より増えているはず。
にもかかわらず、全体として放送業界も衰退しているイメージは拭えない。
私見だが、放送界は今後十分活性化する余地はある。
何故なら、そこに人が集まって来ているからだ。
ただ、悲しいかな、コミュニティFMとかCATVに集まってもトータルな力にはなりえないのだ。
キー局とか、基幹局とか言われるような放送局がどんどんリストラしていき、人もどんどん減らしている。
これでは、放送局も活性化はしない。
今後、今実際に放送にかかわっている連中を如何に全体として活性化するか、それこそが放送界に求められているのだ。
読みながら、書いた私も「ふうん、そういうものかなあ」と思ってしまった。
放送に関わる絶対的人数は増えた、コミュニティFMとCATVの出現で。
いや、今ならBSだのCSだのインターネットだのと、放送と名のつく業務に従事している人は当時より増えているはず。
だが、肝心のキー局や地方の基幹局はリストラの最中。
資力や能力が落ちる業界人がいくら増えても、業界の活性化は苦しい。
「放送界は今後十分活性化する余地がある」と書いているが、人と資本がどれだけ投下されるかにかかっているのではないだろうか。
放送業界は、今や放送への投資を減らし気味。
デジタル対応に設備費を膨大に使っていると喧伝されるが、あれは国策にあわせるための交際費みたいなもの。
使った金は国から補填してほしいという要望を聞くにつれ、まともに投資して業界を活性化させようという強い意志が感じられないのに気付く。
これから人とコンテンツにどれだけ金を投資し、どうやってリクープするかを考えていない業界に明るい未来などないはず。
コミュニティFMも、果たしてどれだけ投資と回収にビジョンを持っているか。
それがなければ、生まれた時からただ衰退する運命しか残っていないと言わざるをえない、そんな気がして仕方がない私である。