フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

島田紳助さんのこと

先ほどまで、あるコミュニティFMの番組を聞いていた。
実際に聞いてみないと偉そうなことは言えないと思い、腰を落ち着けてじっくり聞いてみたわけだ。
で、その感想だが、正直、聞いているのが辛い・・・。
一生懸命やっているのはわかるが、しゃべりのテンポが悪すぎる。
何をしゃべるかをまず決めたら、それをどういう構成のもとにしゃべるかを瞬時に頭の中に浮かべないといけない。
起承転結を振る作業がどれだけ短時間に頭の中でできるかの勝負だ。
この作業が抜群にうまい人がいる。
島田紳助さんである。
特に、転の部分で意外な世界へ人々を引っ張っていく。
そして、見事にそれまでしゃべっていたこととの連関を作りだし、結の部分で思いっきり話を落とす。
それを立て続けにテンポよくやるものだから、受け手はただ彼の話術に振り回されるがままになってしまうのだ。
起承転結+テンポ、たぶん喋り手が訓練するツボなんだろうと私は思う。
昔話になるが、まだ彼が紳助・竜介で漫才をしていた若手の頃、朝の生ワイドに出演してもらったことがある。
竜介さんは、時間前にはちゃんとスタジオに着いていたのに、紳助さんは番組が始まっても来なかった。
打合せも何もできないので困ったなと思いながら、番組を進行。
いよいよ彼の出番、という少し前にやっと「いやあ、放送局間違えてまして・・」と登場。
時間がないので、そのままスタジオに入ってもらい、適当に司会に合わせてくださいと頼んで二人のコーナーに入った。
その時の、紳助さんの場の読み方はすごかった。
ちょっと探りの言葉をはさんだだけで、後はどんな話をすればいいか、すぐに理解されたようだ。
次から次へと切れ味鋭い話題が速射砲のように出てくる。
竜介さんは、ただ話を合わせるだけ。
突っ込むなんてことできそうにもないというか、それほど紳助さんの描く世界は不知なのである。
真正面から突っ込むなんて、よほどの力量がないと無理だったと思う。
だから、竜介さんのできることは、相方の目を見て、ここで突っ込めという指示を感じたら、「なんでやね〜ん!」と言うだけなのだ。
しばらくして、コンビ解消は仕方がなかったと私も思う。
言葉で世界を綴れるものと、ただ人に合わせて生きるしかないものとが、同じ人生を歩むことは無理なんだと。
紳助さんのしゃべりをコミュニティFMのDJもやれというつもりはない。
ただ、漫然と彼の話を聞くのでなく、そこに使われる起承転結の構成、およびそのテンポについて、少しでも学ぼうとしてほしいと願うのだ。
天然だけで、自分のしゃべりを受け入れてもらおうなどというのは虫がよすぎる。
コミュニティFMをしばし耐えながら聞いた、私の本音である。