フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ラジオの影響力

先日、NHK吉田拓郎かぐや姫コンサートinつま恋を放送していた。
自分達の青春時代を確認にやってきたという世代の人で一杯だった。
見ている私も、自然に自分がその頃どこにいたか、どんな人生を生きていたかを思い出してしまった。
そうだよなあ、拓郎にしてもかぐや姫にしても、初めて知ったのはラジオだったんだよなあ。
フォークにしても、ニューミュージックにしても、ヒットを作り出したのはまぎれもなくラジオだった。
テレビはヒットしたものを後追いしていただけだった。
今の世代には、想像もできない世界かもしれない。
ビートルズ、テレビで演奏を見れたのは、本当に後になってから。
「プリーズ・プリーズ・ミー」「抱きしめたい」「ツイスト・アンド・シャウト」、彼らの実態を殆ど知らない、音楽だけのパワーだけでヒットは生まれたのだ。
業界のマーケティングによる、ヒット仕掛けなど存在しなかった。
ラジオには、今では信じられないほど影響力があった。
テレビは信用しない、なぜなら遅れているから。
そんな意識の若者がたくさんいた。
なにしろ、テレビは家族のものであり、自分のものではなかった。
茶の間にでんと置かれ、チャンネル権も平等にしか与えられず、自ずとパーソナルなコンテンツは排除されてしまう。
ラジオは唯一、自分のものであり、パーソナルなニーズに答えてくれたのだ。
つま恋に集まっていた人々は、ラジオの力を身をもって知った世代だろう。
拓郎やかぐや姫をラジオを通じて支持していた世代だろう。
ラジオは単なる手段ではなかった。
一緒に生きる相棒だったような気がする。
そんな時代のラジオをまた現代に甦らせたい、そんな声を私も聞かないでもない。
ラジオには本来、それだけの影響力、パワーがあるのだと叫んでいるのだ。
だが、私は少しだけそんな意見に否定的である。
昔の若者にはラジオは相棒だったかもしれないが、今はただのワン・メディアに過ぎないのではと。
今は、仲間はラジオだけではない。
ラジオの価値を否定するものではないが、過大評価もするつもりはない。
そんな声が返ってきそうである。
昔影響力があったからといって、今もあるわけではない。
年を重ねたものが陥りやすい錯覚と、自戒する必要があると思っている。