フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

アナログ放送の未来・3

アナログからデジタルに転換したことによるイノベーションの例として最もふさわしいのは携帯電話だろう。
ご承知のように、携帯電話の原初形態は1979年に開始された自動車電話である。
その後1985年にバッテリーを肩から下げるショルダーフォンができ、1987年に携帯電話らしきものが生まれたとされている。
もちろん、これらはすべてアナログ電話である。
私が最初に使ったのは、後者の携帯電話。
鉄の置物のような電話で、ある制作スタジオの管理責任者の方が嬉しそうに見せびらかしておられたのを使わせてもらったのだ。
あの鉄の塊が、今のようなハンディな万能端末になるなんてこれっぽっちも思えなかったのは事実である。
その後の携帯電話の普及はめざましかった。
鉄の塊がポケットに入るようになってから、いわゆるイノベーターといわれる層が、当たり前のように持つようになり、それにつられて業界人のほとんどがこれは便利だと持つようになった。
とはいえ、ここまでは携帯電話はポケットに入った音声電話にすぎなかったといえる。
アナログ電話で不便だったのは、金曜日の夜になると回線が満杯になって通話できなくなることだった。
回線が限定されるため、誰かが電話を切らない限り発信できないのだ。
「ただいま回線が混雑していますので、のちほどおかけください」というようなメッセージが繰り返されていた。
アナログからデジタルになって、もちろんこんな現象はなくなった。(年末年始とか災害時には回線がパンクするのは今でもあるようだが)
いわゆるデジタル化によって、電波が有効利用され、一度につながるユーザーが飛躍的に増えたのである。
その後、デジタル化はインターネットへの接続を可能にし、メール通信や携帯サイトがもはや当たり前の存在になったというわけである。
携帯電話で写真をとったり動画をとって送ったりとか、アナログ時代には夢にも思わなかったことである。
いや、あの頃携帯電話を使っていたユーザーの一体何人が今のような携帯へと進化することを予知していただろうか。
つまりアナログ時代にはデジタル時代に起こることは想像できないと私は言いたいのである。
アナログ放送をテーゼとし、デジタル放送をアンチテーゼとするなら、その発展形態がどうなるのか、それはこの2つが混沌として混ざり合う中でしか理解できないことだと思うからである。
デジタル放送はまだほとんど始まっていない。
時代が動くのはこれからである。
結論を出すのは、まだまだ先だと私は思っている。