フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

ヤンタンの時代

ヤンタンの時代」(渡邊一雄著 角川書店)を読んでいる。
大阪の毎日放送の看板番組「MBSヤングタウン」を作ってこられた渡邊氏によるラジオ番組のメイキング話とでも言おうか。
こういう本を読んでいるといつも思うのだが、人気番組とか成功した番組というのは、結局才能と才能との出会い、そこから生まれるコラボレーションというのが不可欠のようだ。
才能のないところに、創造はないとでもいおうか。
私もリスナーとして、ヤングタウンに接したわけだが、確かに草創期の桂三枝さんの存在は大きかったといえる。
名前も顔も知らなかった三枝さんだったが、毎晩スタジオに集まってきた高校生、学生相手に実に当意即妙に番組を進行させていた。
確かに面白かった。
無名のタレントがいつのまにか人気タレントに、そんな過程をリアルタイムに体験したわけだが、その経験を通じて、人気番組とはリスナーとともに時間をかけて育っていくものだと学習したわけである。
有名タレントを並べたら成功する、人気のある曲を毎回かけるから成功するというものではない。
そんなもので成功したところで、リスナーに思い出はさほど残らない。
名も知らぬ新人が、自分とともに成長していく様を実感する、それがいつか思い出に変わっていくのではないだろうか。
だから、番組は常に新人を発掘し育てていかないと、結局は人気番組として後世伝えられるような番組にはならないのではと。
新人を抜擢することは冒険だが、それが成功したときは、その番組を作ったもの、その周囲にいた人たち、そして毎回ハガキを書いてくれたリスナーとともに、記憶に残るものになるのだろう。
コミュニティFMも又、才能ある作り手と才能あるタレントとの出会いの場を用意しないといけない。
そして、定期的に新人を発掘し、伸びていく場を与え、そして根気よく育てていくことが必要だろう。
それは、いわゆる農業の営みに近いかもしれない。
人知れず努力し、人知れず才能の開花を待ちわびる、そんな地道な作業の中から人気番組がうまれてくるのだろう、コミュニティFMという土壌においても。
文化の創造は耕すことから始めないといけない。
どこからか買ってきた花を並べるだけでは、根付くこともなく、ただ枯れてしまうだけだ。
枯れた花を顧みる人は人はいない。
少なくともコミュニティFMの世界では。