フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

音楽の力・5

つまり、私がラジオでよく聞いていた「急流」はモノラル録音だったのである。
多分、シングル盤で発売されていたものだろう。
当時のラジオ局は、音楽をかけるのはLPよりシングルの方が多かった。
LPがメインになるのは、FM局ができてからだ。(もちろんクラシックやジャズは除いてだが)
だから、放送される「急流」はすべてシングル盤だったということになる。
シングル盤は、確かにモノラルが多かった。
これはポータブルのレコードプレイヤーが基本的にモノラルだったということと関係があるのかもしれない。
私が初めて買ったレコードもモノラル盤のシングルだった。(ちなみに買ったのはビートルズの「恋する二人/ぼくが泣く」)
ああそうそう、この「恋する二人」もシングルとLPのバージョンが違っていた。(イントロのハーモニカのアレンジが違うのでよくわかる)
シングルはモノラル、LPはステレオだったから違うんだろうと軽く思っていた。
ところが、80年代に入ってCD化された時に何とシングル・バージョンが収録されていたことにちょっとびっくり。
もちろん、モノラルではない、れっきとしたステレオバージョン。
でも、テイクは同じ。
どうなっているのかな?と今も少し疑問なのである。
話を「急流」に戻そう。
何故、フランク・プウルセルの「急流」がシングルバージョンと違っていたのか。
多分、それがモノラル録音だったからなのだろう。
もはや、フランク・プウルセルはシングル盤で聞く楽団ではなくなっていた。
売れるのはLP。
そうなると、聞くプレイヤーはステレオが基本だろうし、またFM局もステレオがデフォルトということになる。(NHKFMは何故かしばらくモノラル放送も続けていたが)
で、レコード会社はフランク・プウルセルの音源をすべてステレオに変えた。
「急流」も、ステレオで録音し直す時に、アレンジを一新したというわけなのだろう。
で、その後発売されたLPはすべてステレオのニューバージョン。
私が親しんだ「急流」は以後どこへ行ったかわからない状態になっていたというわけだ。
で、CDでベスト盤を作るとき、ディレクターが昔の音源の方がヒットしたと判断してモノラル注釈を入れて発売したというわけなのだろう。
でも、心から言いたい。
東芝EMIのディレクター氏、ありがとう。
ということで、長々と「急流」話を続けてきた。
だが、ラジオというのは、こういう風に長い時間をかけて私の中に問題提起をつきつけてきたわけで、多分そういった長いスパンでつきあうメディアなのではないかと思う次第なのである。
テレビでは、答えが早すぎる。
そういえばネットになって答えが更に早くなったという気もしてきている。
これはいいことなのか、悪いことなのか、今は判断がつかないが、いずれこのあたりも評価が定まってくるのだろう、10年もしないうちにね。