フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

若い頃

20代の前半、編成の上司から時間枠を与えられ、好きなように作っていいよと言われたことがある。
リスナーが聞いてくれる番組とはどういうものなのか、スポンサーが買ってくれる番組がどういうものなのか、ほとんど知識を持っていなかった頃だ。
何もわからない新米がFM番組を作ったわけである。
とにかく、他の時間帯ではあまりかからないジャンルの曲をかけようと思った。
当時、ある事情でフランス語を少しかじっていたので、フレンチポップスを中心に番組を構成することにした。
第一回目はアラン・バリエールの特集。
ブルターニュ地方の出身、すなわちブルトン人の血をひきついでいるシャンソニエである。
このあたりの地理的な話とか、ブルトン人についてのちょっとした解説等を交えて、30分の番組にした。
そしてオンエア。
何の反応もなし。
同じような感じでジュリアン・クレールとかミシェル・ポルナレフ、シルビー・バルタン、ミレイユ・マチューなどの特集を放送したが、ほとんど聞かれていないのではという印象を持った。
フレンチポップスの特集をしたのが間違いだったのかとその時思った。
やはり、フランス系はマイナーなのだと諦めるしかなかった。
で、今になって思う。
フレンチポップスは確かにマイナーだったかもしれない。
だが、たとえマイナーでも、聞かせ方はあるはずだ。
フレンチポップスに詳しい人からすれば、新米の私が作るような番組、心にひっかかるはずがない。
また、ほとんど知らない人には、ただ知識をひけらかすような番組に反応するはずがないのだ。
ターゲットはどこにあるのだ、と今の私なら聞くだろう。
詳しい人がターゲットなら、もっとマニアックな作り方をしないといけない。
普通の人がターゲットなら、音楽だけではなく、それ以外にもっとアトラクティブな要素を加えないといけない。
そして、一緒に楽しみながら、フレンチポップスもなかなかいいものだと思ってもらえるような番組作りをしないといけない。
自分の中で、勝手に作ったイメージを押し付ける番組なんか誰が聴こうとするものか。
当時の私を考えれば赤面の至り。
まあ、新米のディレクターって、どこもそんなものさと言われればおしまいだが。