フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

癒しラジオ

コミュニティFMはニッチ・メディアを目指した方がいいという人がいる。
従来のエフエム局のように幅広い層を狙うのではなく、限定された、しかし確実に聞いてくれる層に向けて放送をすれば、少なくとも差別化はできるのではというのだ。
一理あるが、ほとんどのコミFには難しい選択だと私は思う。
まず、ニッチ・メディアにして成功した局がない。
番組単位では考えられても、全番組をニッチにするなんて冒険以外の何者でもないといわれるだけかもしれない。
コミFといっても、どの局も一枚岩ではない。
利害が対立する可能性を持ちながら、内部では何とか妥協しあっている局がほとんどではないだろうか。
そんな中で少数派を志向するような編成をするのは、相当の政治力が必要である。
差別化はしたいが、成功例がない限りニッチ・メディアは目指せない。
などといっている間に、局のパワーはどんどん落ちていく。
他に何のアイデアもないのだから、今のまま突き進むしかないということだ。
せめては、もう少しゆるやかなところで、自分たちを定義しなおしてみることもありかもしれない。
たとえば、自分たちは「癒しラジオ」である。
日々、リスナーの方に癒しを与える、そのコンセプトで番組を構成するのだというように。
逆に言えば、癒し効果を持たない番組を排除するということになる。
スクリーニングという単純な作業で、その日から「癒しラジオ」が生まれる。
作業は単純だが、制作現場でゴタゴタすることは覚悟しないといけない。
何が「癒し」なんだということで論争することもあるかもしれない。
論争、大いに結構ではないか。
それによって、ギスギスしていた局内が癒しの場に変わればそれもまたよしとしないと。


癒しとは少しずれるかもしれないが、昔、MBSヤングタウン桂三枝さん司会)で引田天功さん(先代)によるラジオ催眠術というのがあった。
天功さんが、リスナーに向かって催眠術をかけるのだ。
「あなたは、だんだん眠くなる・・・」という、天功さんの声に気持ちよい眠りについた若者がたくさんいた記憶がある。
催眠術というより、導眠術と言ったほうが正しいような気がするが、私も別に天功さんの言うとおりに体が動いたというより、単純に寝てしまっただけというところか。
でも、こういう企画って、今も好きだ。
人の心を掌握して、動かしてやろうという催眠術はどうかと思うが、毎日ラジオを聴いている人に心地よい眠りを与えられるなら大賛成である。
単純にアルファ波を出す音楽ばかり流すのもいい。
今からアルファ波を出しますよ〜気持ちよく眠れますよ〜とかなんとか、メッセージつきで。
実際にアルファ波が出るかどうか、知ったことではない。
要は、聞いている人がどれだけ気持ちよくなれるか、癒されるかである。
ラジオを使って、もっと色々な試みができるはず。
ラジオの持つ可能性を、コミュニティFMも、既存の局もまだまだ使い切っていない、私はつくづくそう思う次第である。