フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

過去のアーカイブ〜コミュニティFM4

私がまだ放送局のプロデューサーだった時、あるアイドル歌手の番組を作っていた。
その子は、性格的にとってもしっかりしていて、今も立派な主婦として亭主を支えているのだが、その時の番組を作っていたディレクターはひどかった。
広告代理店がこのディレクターでと指定してきたので、ま、いいかと思って採用したのだが、本文にもあるようなタイプのとんでもディレクター。
とにかく安い制作費で番組を作りなれているせいか、すべてが効率一辺倒(これをやっつけ仕事と呼ぶ)。
「これはどうするの?これは、もう少し構成しなおした方がいい。」と注文をつける私に「いいですよ、そんなこと、誰も気にしてませんから。」とお気楽な対応。
俺が気にしているんだよ!と頭に来てしまった。
君は、そんなタイプの放送局の人間ばかりを相手にしてきたのかもしれないけど、私がプロデュースする以上、いい加減な番組作りは許さないと宣言。
全体の構成は私が担当、そして取材の部分も私が別のリポーターを使って番組の中にはさみこんだ。
ディレクターは、あきれていたが黙って私に従っていた。
ま、そりゃ、力関係からいって、そうするしかなかっただろうな。
広告代理店も、文句も言わず、私の指示に従っていた。
アイドル歌手さんとそのマネージャーさん、ライターの方は、番組が活気づいたので毎回楽しそうにされていた。
よく飲みにも行ったし。(ディレクターはいつも外していたけど。)
その広告代理店、今は兵庫県のFM局で、トラブルに巻き込まれている最中。
たまには連絡してくれればいいのにと思うが、それどころじゃないのだろう。
ということで、私の適当な昔話とともに今回もお楽しみください。


2002-5-31 13:50
番組を作るということって、どういうイメージを持っておられるのかな。
お手本があって、それをなぞればいい。
そのうち、習熟すると自分の個性を入れて、自分にしか出来ない番組作りの完成・・てなとこか。
お手本って、どこにあるかというと、これ、既成のラジオ番組てことになるわけだ。
だから、コミュニティFMって、ほとんど県域放送(とくに東京とかの)の真似から入る。
それがカッコよく聞こえるのだろう。
だから、これをお手本にして、ということになる。
長くこの世界にいると、とてもお手本とは言えない番組も多い。
アイドル歌手のDJ番組なんて、誰かが金を出さなければ(スポンサード)成立しない番組が多い。
ディレクターで腕のいいのがいると、辛うじて聞けるものになるけど、ほとんどはやっつけ仕事みたいなものが多い。
どうせ、何ヶ月かしたら終るんだ。
スタジオ代も高いし、本人のスケジュールもタイト。
だから、色々あっても時間通りにどんどん作る。
粗製濫造の工場のようなものだ。
こんなもの、手本にするコミュニティFM哀れ。
よく、番組の作り方とか、ディレクターの心得とか活字になったりしているが、そんなもの読んだぐらいで、まともな番組など作れるわけない。
大車輪のやり方が書いてある本があって、それを熟読玩味しても、次の日に大車輪ができるかというと、できるわけないのと同じだ。
番組作りは、場との戦いであり、人々との戦いであり、時間との戦いである。
そして、最後に自分との戦いである。
これらの戦いを通じて、瞬時に状況を判断する能力が開発される
番組を作ると言うのは、この能力開発をおろそかにしてできるものではない。
まず、お手本を見つけよう。
リスナーが支持している番組を探そう。
その番組を思いっきりまねるところから始まってもいい。
そして、その真似だけで客がついてきたら、貴方の真似は完璧ということだ。
後は、自分の個性を交えながら、自分だけにしかできないと思える番組作りに励むことだ。
真似だけで終る馬鹿も多いので、要注意である。
番組作りは、プラモデルのキットを組み立てる作業に似ていなくもない。
キットになっているから、素材はすでにここにある。
後は、設計図にそって、組み立てればいいのだが、これがなかなか綺麗に組み立てられない。
確かにできあがったものは、遠くから見ればどれも同じように見える。
しかし、近くに寄れば、その差は歴然だ。
熟練した人の作品は、見るからによくできている。
同じ素材で作ったとは思えない程に。
「イイ仕事してますねえ?」なんて褒め言葉そのもの。
結局、この「イイ仕事してますねえ?」というのが、ある意味では、番組作りの目標だ。
それはコミュニティFMであろうと、県域FMであろうと同じことだ。
ということで、今日の更新はこれまで。
これから、私は又旅に立つのであった。


番組制作ディレクターには二つのタイプがある。職人型と芸術家型。一般には職人型の方が支持されやすい。私はどちらかというと、芸術家型、だから最終的にはパージされやすい面がある、尚、このほかにディレクターという肩書きだけの、アホんだら型も世の中にはいるようだが、
コミュニティFMにも、「イイ仕事」をしている番組がある。
センスのいい担当者が自分の能力を目一杯使って作っている番組だ。
出演者が少しでも魅力的になるよう、リスナーが少しでも喜んでくれるよう、自分の時間を割いて一生懸命作っているのがわかる。
それがメッセージとして受け手に伝わってくるのだ。
分る人は分るだろう。
未来の文化は辺境から来る。
コミュニティFMで日々番組作りに奮闘する皆さんへの期待をこめて、書いておきたい。