フロムさんの大きなお世話~コミュニティFM編

コミュニティFMについてラジオプロデューサー、フロムさんが色々語っています。

適正価格(その5)

スポットの価格が1万だとか3万だとか書いてきたが、価格がどうとか言う前にクライアントのニーズがなければどうしようもない。
放送局の営業マンは代理店を回るのも仕事だが、クライアントに直接訪問することも重要な業務だ。
で、相手が話を聞いてくれるようになれば、クライアントのニーズというのもわかって来る。
そうなると、自分たちの商品をこういう風に組み合わせれば、多少でも買ってくれるかなと思ったりするだろうが、相手にも予算というものがある。
また、新しい出稿先となると、ニーズがあったとしてもそう簡単には応じてくれないだろう。
出稿する以上、誰が見ても(放送局の営業マンが説得しなくても)それが合理的な予算の使い方であると認識されないといけない。
こうやれば売れる、こんな企画書を書けばクライアントが乗ってくれる、なんて簡単に言う人がいるが、実際に日々クライアントと向き合っていると、それ以前に色々問題があるのだと気づくはず。
要は適正価格はどうあるべきかということのプライオリティは二の次、三の次で、クライアントの興味をこちらにひきつけ、その可能性に多少なりとも賭けてもらう気持ちにさせるのが第一義的問題なのだ。
広告用語にアイドマ(AIDMA)の法則というのがある。
消費者は広告と接する中、こういう段階を踏んで商品を購入するという法則である。
1. Attention(注意)
2. Interest(関心)
3. Desire(欲求)
4. Memory(記憶)
5. Action(行動)
ラジオ局的に言うと、消費者=クライアント(スポンサー)だから、営業マンもそれを意識してクライアントに対応しないといけない。
私はAとIに関しては、まあまあ自信があるが、問題は相手の欲求掘り起こしがどれだけできるかだった。
関心を持ってくれても、なかなか買ってくれるところまでは行かない。
そのほとんどの理由は、うちはTVが中心でラジオには出稿しないんだという一言だった。
クライアント側にニーズがない、ならば価格を下げたり、スポットの数をサービスで増やしたりしても一緒である。
ニーズがないというのは、クライアントにとっては効果がないのと同義語なのだ。
効果がないといわれれば、何とか適当な材料を引っ張り出してきて反論するのが営業の仕事なのだが、局側に効果があることを証明するオーソライズされた資料がほとんどないのだから、それにも限界があるのが普通だった。
「ラジオにスポット打っても反応ないからね。」というのは、昨今クライアント側からしばしば聞こえてくるようになった言葉だと言われている。
コミュニティFMの方々もその言葉には多少敏感になっておられるのではないだろうか。
で、それに対して私の知っているラジオ局の営業マンは何と答えているか。
「そんなこと言わずに、本数増やしますし、パブも打ちますし、あ、今だったらクーポン企画というのがあって、商品券を御社にお渡しすることもできますし・・」などと、本質的な問題をわざと避けてヒューマンパワーで何とか解決しようとしている傾向が見えたりする。
ま、それで出稿してもらえるなら結構なことだが、メディアとしての地位が低下気味のラジオにとって、そろそろ何か別の方法論がいるのではないかと老婆心ながら思ったりしている。
さて、今日は少し適正価格の問題から離れてしまった。
明日は、また適正価格についての本質的な話をするつもりだ。